歩かないウォーキングレッスンについて
なぜ歩かないウォーキングレッスンが必要か?
歩かないウォーキングレッスンは歩くという根本を改善するためのレッスンです。ヒトの歩き方は160万年前に発掘された化石から現代とほぼ同じ歩き方をしていたことが明らかになっています[Brown et al., 1985; Marchi et al., 2019]。もともと木の上での生活だったヒトの足の形は草原を歩くようになったことで大きな進化がありました。どのような歩きをしたことで進化をしたのかは明らかになっていませんが、現代のような歩き方をしていなかったのではないかと考えています。歩くという動作は同じ動作を繰り返します。10歩目も1万歩目も同じ動作を繰り返します。歩かないウォーキングレッスンは「重心をどうやって移動させるか?」に特化したレッスンです。基本的な動きを伝えるために「歩くことを練習するのではなく、重心の移動の動作を練習」しています。
ヒトはなぜふらつくのか?
ヒトがどのように歩いているのか考えたことはありますか?そして高齢になるとなぜふらつきや転倒をするのが多くなるのでしょうか?当社では「歩くとは物が移動する(倒れる)と同じ」という、これまでの研究で報告された事実から考え始めました。
物が安定しているときは重さを支えている面(支持基底面という)に重心が入っており倒れることはありません。しかし重心が支持基底面の端になると不安定になります。そして重心が支持基底面を外れると倒れます(転倒)。
ではヒトの場合はどの様になるのでしょうか?そもそも「ヒトは不安定で転倒しやすい生き物」[跡見, 2013]といわれています。その理由は重心位置が高いということと支持基底面が小さいからです(ヒトにおける支持基底面は両足底とその間の部分を合わせた面積。よって両足の間隔を広げれば支持基底面は大きくなる)。なぜそのようなことが起こるのか?それは私たちが住んでいる地球にある「重力」が影響しています。(※重力は姿勢を歪ませる要因とも言われています[内田 他., 2014])。
ヒトはどうやって歩いているのか?
これまでの研究からヒトの歩き方に対して次の報告があります。「地面の上に立っている体が前へと進むことは地面に足が接触して力がかかっているところよりも前方に体全体の重心を倒すことによって初めて可能になる 」[Brenière et al., 1987]。つまり歩き始めるには安定した状態から重心を進行歩行に倒している訳です。当社では自ら不安定を作って歩いていると考えています。
歩かないウォーキングレッスンとは?
歩かないウォーキングレッスンは「安定に歩く」です。安定に歩くには重心位置をなるべく支持基底面から外さないように歩きます。物であれば動きません。しかしヒトは前に進むことができる機能を有しています。それは「下肢三頭筋(ふくらはぎ)」です。ふくらはぎは第2の心臓とも言われています[平澤 他., 2019]。ふくらはぎは足首の動き(底屈:足首を伸ばす)と連動しており足首を伸ばせばふくらはぎは縮み、足首を曲げればふくらはぎは伸びます。体を前に進めるにはふくらはぎを縮める、つまり足首を伸ばすことで進みます。ごく当たり前に聞こえる歩き方ですが、残念ながら現在の多くのヒトがそのような歩き方をしていません[佐藤 他., 2016]。歩かないウォーキングとはどんな方にも安定を意識して歩くことができるのが特徴のウォーキングメソッドです。